大阪・梅田。
高層ビルが立ち並ぶ中、ひときわ目立つツインタワー。その屋上を繋ぐ空中庭園が、最終決戦の舞台だった。
「ここが……陽子姐さんの言ってた“最後の場所”か」
片山は見上げながら、ふっと息を吐いた。
「高いとこ、苦手やねんけどな……」
「お前、さっきエレベーターで耳キーン言うてたやん」
大竹はツッコみながらも、表情は引き締まっていた。
「でも、やるしかないな」
彼らの背中には、覆面ブラザーズのユウスケとケンジ、そしてP-01が続いていた。
「ターゲット、アマギの現在位置は庭園中央の展望デッキ。護衛4名、狙撃手2名配置」
P-01が冷静に情報を告げる。
「バリバリの迎撃態勢やん……!」
「正面突破は危険。ですが、展望デッキ下にサービス用の保守階段があります。そこを使えば接近可能」
「回り道か……ええやん、王道っぽい」
「ただし、階段の途中には防犯レーザーが設置されています」
「また出たレーザー!」
片山は額を押さえながらも、決意を固めた。
「よし、俺が囮になる」
「はあ!?」
「ここまで来たら、俺らのうち誰かが足止めせな突破できんやろ」
「そんな“俺が行く”みたいなカッコええ感じで言うなや!」
ユウスケが言った。
「なら、俺とケンジが行く。姐さんが絡んでるなら、最後くらい俺たちが責任取るべきや」
ケンジも頷いた。
「おっさんらは、上に行ってくれ。姐さんが選んだのは、たぶん、あんたらや」
P-01が時間を確認する。
「狙撃班の目が庭園西側に向いている今が好機。今から90秒以内に展望デッキ下へ」
「了解」
片山と大竹は保守階段へと走り出した。
風が強い。 高所特有の耳鳴りと緊張感が、足をすくませる。
「なあ片山」
「なんや」
「俺ら、何やってんやろな」
「分からん。でも、楽しいやん」
「…せやな、なんか楽しいわ」
そう言って、二人は展望デッキへと登りきった。
そしてそこに待っていたのは、黒いスーツを着た男。 銀縁メガネ。整えられた髪。
「初めまして。私がアマギです」
淡々とした声。
「アマギ……ノア計画の責任者。そして陽子姐さんの過去の男……でええんやな?」
「ふふ…その通りです」
背後には二人のスーツ姿の護衛が立つ。
「ようこそ、真実の中心へ。だが、その情報を世に出すわけにはいかない」
「出すわ。だって俺ら、探偵やからな」
片山がUSBを掲げる。
「君たちにそんな勇気があるなら……証明してみたまえ」
その瞬間、アマギの指が動いた。
護衛たちが銃を抜く!
「大竹、伏せろ!!」
片山が大声を上げると同時に、銃声が響いた——
(続く)
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喜劇団R・プロジェクト6月公演
『ミッション:おっさんポッシブル 〜VS覆面ブラザーズ〜』
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