『ミッション:おっさんポッシブル』 第19話 空中庭園ラストミッション

大阪・梅田。
 
高層ビルが立ち並ぶ中、ひときわ目立つツインタワー。その屋上を繋ぐ空中庭園が、最終決戦の舞台だった。
 
「ここが……陽子姐さんの言ってた“最後の場所”か」
 
片山は見上げながら、ふっと息を吐いた。
 
「高いとこ、苦手やねんけどな……」
 
「お前、さっきエレベーターで耳キーン言うてたやん」
 
大竹はツッコみながらも、表情は引き締まっていた。
 
「でも、やるしかないな」
 
彼らの背中には、覆面ブラザーズのユウスケとケンジ、そしてP-01が続いていた。
 
「ターゲット、アマギの現在位置は庭園中央の展望デッキ。護衛4名、狙撃手2名配置」
 
P-01が冷静に情報を告げる。
 
「バリバリの迎撃態勢やん……!」
 
「正面突破は危険。ですが、展望デッキ下にサービス用の保守階段があります。そこを使えば接近可能」
 
「回り道か……ええやん、王道っぽい」
 
「ただし、階段の途中には防犯レーザーが設置されています」
 
「また出たレーザー!」
 
片山は額を押さえながらも、決意を固めた。
 
「よし、俺が囮になる」
 
「はあ!?」
 
「ここまで来たら、俺らのうち誰かが足止めせな突破できんやろ」
 
「そんな“俺が行く”みたいなカッコええ感じで言うなや!」
 
ユウスケが言った。
 
「なら、俺とケンジが行く。姐さんが絡んでるなら、最後くらい俺たちが責任取るべきや」
 
ケンジも頷いた。
 
「おっさんらは、上に行ってくれ。姐さんが選んだのは、たぶん、あんたらや」
 
P-01が時間を確認する。
 
「狙撃班の目が庭園西側に向いている今が好機。今から90秒以内に展望デッキ下へ」
 
「了解」
 
片山と大竹は保守階段へと走り出した。
 
風が強い。 高所特有の耳鳴りと緊張感が、足をすくませる。
 
「なあ片山」
 
「なんや」
 
「俺ら、何やってんやろな」
 
「分からん。でも、楽しいやん」
 
「…せやな、なんか楽しいわ」
 
そう言って、二人は展望デッキへと登りきった。
 
そしてそこに待っていたのは、黒いスーツを着た男。 銀縁メガネ。整えられた髪。
 
「初めまして。私がアマギです」
 
淡々とした声。
 
「アマギ……ノア計画の責任者。そして陽子姐さんの過去の男……でええんやな?」
 
「ふふ…その通りです」
 
背後には二人のスーツ姿の護衛が立つ。
 
「ようこそ、真実の中心へ。だが、その情報を世に出すわけにはいかない」
 
「出すわ。だって俺ら、探偵やからな」
 
片山がUSBを掲げる。
 
「君たちにそんな勇気があるなら……証明してみたまえ」
 
その瞬間、アマギの指が動いた。
 
護衛たちが銃を抜く!
 
「大竹、伏せろ!!」
 
片山が大声を上げると同時に、銃声が響いた——
(続く)

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喜劇団R・プロジェクト6月公演
『ミッション:おっさんポッシブル 〜VS覆面ブラザーズ〜』
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