「アマギって名前、聞いたことあるか?」
数時間後:B-7階 通路
片山がP-01に訊ねると、彼は即座に反応した。
「アマギ・ユウキ。表向きはオルフェウス社の社外取締役。しかし裏では“ノア計画”の設立メンバーであり、現在の最高意思決定者の一人です」
「……おい、それ完全にラスボスやないか」
「しかもそのアマギが、俺らを狙って“セラフ”を送り込んできたってことやな」
大竹が顔をしかめる。
「つまり、こっちから出向くしかないってことか……」
P-01がマップを表示する。
「アマギの居場所は、オルフェウス本社の上層階、セキュリティゾーン“E-X5”です」
「上層階か……地下から始まって、ついに上まで行くんやな。なんかゲームの最終ステージみたいやな」
「だが、その前に通らなければならない場所があります」
「ん? どこや?」
「中間フロア“B-7”。そこに、彼らが待ち構えています」
P-01が画面に映し出したのは、2人の男の姿。
同じ黒いスーツ。黒いマスク。ひとりは細身で背が高く、もうひとりはがっしりとした体型。まるで鏡写しのようにシンクロしたポーズ。
「こいつら……」
「覆面ブラザーズ。コードネーム“シグマ”と“デルタ”。“ノア計画”直属の精鋭戦闘ユニット。あなた方を排除するために派遣された存在です」
「うわー、やっと出てきたな副タイトルの主役…」
「かっこええけど、敵やねんな」
「しかも“ブラザーズ”ってことは、相性バツグンってことやろ? 絶対やっかいやん」
P-01がうなずく。
「彼らとの接触は回避不可能です。ですが、突破は可能です」
「その自信、どっから来るんや?」
「“おっさんバディ”のポテンシャルは、理論値を超えています」
「それ、褒めてんのかディスってんのか分からへんぞ」
数時間後:B-7階 通路
長く静かな通路。 その先で、ふたつの黒い影がこちらを見つめていた。
「……来たな」
「予測通りの時間。予測通りの人数。さすがだ、P-01」
「……待ち構えてたんかい」
「我々は“覆面ブラザーズ”。目立たないが、見落とされない存在……」
「なんやそのキャッチコピー」
シグマとデルタは無言でポーズを決めた。 完璧な左右対称の構え。
「片山、大竹、君たちはここで終わる」
「いやいや、俺らおっさんやけど、めっちゃしぶといで」
「むしろ最近、筋肉痛すら2日遅れでくるタイプや」
P-01が手を挙げて静かに告げる。
「接近戦、警戒。彼らは完全な連携型ユニット。動きは独立しているが、戦術は一体です」
「ちょ、P-01、そういうの先に言えや」
「でも安心せえ大竹。俺らもツーカーの仲やろ?」
「そういうの、今だけ信じるわ……」
照明が落ち、通路は戦場へと変わった。
(続く)
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喜劇団R・プロジェクト6月公演
『ミッション:おっさんポッシブル 〜VS覆面ブラザーズ〜』
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