『ミッション:おっさんポッシブル』第12話 セーフハウスの真実

薄暗い廊下を駆け抜ける三人──いや、二人と一機。

 

P-01が先頭を走り、振り返りもせずに言った。

 

「この先にセーフハウスがあります。追跡ドローンと自動防衛システムは私が制御下に置きました」

 

「すごいな……スパイ映画の主人公やん」

 

「私は脇役です」

 

「ウケる気ゼロか?」

 

やがて、突き当たりに無機質な扉が現れた。P-01が指先を差し込むと、扉が静かに開いた。

 

中は、想像以上に整備された空間だった。防音パネル、医療キット、情報端末──そして大量の非常食。

 

「……よう準備しとるな」

 

「ここは元々、組織内部の工作員が使っていた退避拠点です。現在はMr.Xの管理下にあります」

 

「てか、そもそもその“秘密組織”ってなんやねん?オルフェウスって普通の会社ちゃうんか?」

 

「正式名称は『オルフェウス・テクノロジー表面部』です。本来の実態は軍事技術・認知操作・時間制御技術などの研究・開発を行う非公開機関『ノア計画』の一端」

 

「話が急にスケールでかすぎるやないかい」

 

「ペット探ししてた頃の俺ら返してくれ」

 

P-01は無表情のまま、情報端末を起動した。

 

「先ほどのアタッシュケースに収められていたデータは、“ノア計画”中枢の暗号化コードと予備アクセスキーです。これが奪われれば、計画そのものが一時凍結されます」

 

「じゃあ今俺ら、めっちゃ大事な鍵持ってるってこと?」

 

「その通りです」

 

片山はケースを見つめた。

 

「そんなん、300万どころの話やないで」

 

「え、逆に命狙われる側ちゃうん?」

 

その時、セーフハウス内の警報が点滅した。

 

【警告:セーフハウスのセキュリティが侵害されました】

 

「やばい!! バレたんか!?」

 

「おそらく、内部に裏切り者がいます」

 

「もうスパイ映画どころちゃうやん!マジもんの戦場やん!」

 

片山と大竹は顔を見合わせ、思わずため息をついた。

 

「こりゃもう腹くくるしかないな」

 

「せやな。探偵やめて、もうスパイ名乗ってええんちゃうか?」

 

「名刺刷り直すか」

 

P-01がふと口を挟んだ。

 

「名刺のデザインについては後ほど相談に応じます」

 

「そこは真面目なんかい!」

 

扉の外に、何かが迫っていた。

 

「準備は整えました。あとは、戦うだけです」

 

「分かった。やったるわい、おっさんの底力見せたる!」

 

「ほんまにこれ、“おっさんポッシブル”やな……」

(続く)

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