大竹が震える声で指差す。
片山の手にある黒いアタッシュケースが、うっすらと光り始めていた。
「なんや、これ……」
ケースの側面に浮かび上がったのは、見たことのない幾何学模様。そして中央に浮かぶ数字のような記号。
【起動シーケンス:10…9…8…】
「おい、カウントダウン始まっとる!!」
「マジか! これ爆発すんのか!? それとも召喚系か!?」
「召喚系ってなんや!!」
慌てて手放そうとするが、ケースは片山の手にピタリと張り付いて離れない。
「うわっ! 離れへん!! 何これ、呪いのアイテムか!?」
【起動シーケンス:3…2…1】
「うわーー!!」
瞬間、ケースがまばゆい光を放ち、空間がぐにゃりと歪んだ。
「え……?」
光が収まったとき、そこにいたのは――
「……誰や、あんた?」
二人の目の前に立っていたのは、スーツ姿の男。
無表情で、瞳は銀色に光っている。
「こちら、情報収集支援型ヒューマノイドユニット“P-01”。依頼者“Mr.X”の指令により、貴殿らに同行・支援を行う」
「ロボ!? 中からロボ出てきたんか? 小さな人が操縦してるんちゃうんか!?」
「私の機能に冗談検知モジュールは搭載されておりません」
「こわっ。 全然ウケへん」
大竹は若干引き気味に後ずさった。
「ちょっと待て。お前、Mr.Xの差し金か? なんの目的で?」
「機密データ奪取ミッションの補佐及び、敵対勢力への防衛行動。それが私の任務です」
「敵対勢力って……お前、この会社のこと“敵”って言ったな」
「正確には、“この施設を牛耳る秘密組織”が対象です」
「なんや、急に陰謀論感でてきたな……」
「時間がありません。追手が迫っています。現在位置から南廊下を抜けた先に、セーフハウスがあります」
片山と大竹は顔を見合わせた。
「……着いてくしかないか」
「ロボのくせに頼りになる気がしてきたわ」
「私には“信頼されるべき”というプロファイルが含まれています」
「なんやそれ、ムカつくわ」
P-01が先導し、二人は再び走り出す。
未だ謎に包まれた“Mr.X”、その目的、そして“おっさんポッシブル”最大の敵――“秘密組織”の正体とは!?
物語は、新たなステージへと突入する。
(続く)
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喜劇団R・プロジェクト6月公演
『ミッション:おっさんポッシブル 〜VS覆面ブラザーズ〜』
公演ではこの物語がどう展開するのか!?
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