おっさん、逃げ場なし!?
金庫室から飛び出した片山と大竹は、息を切らしながら非常階段を駆け上がっていた。
「こっちや! 非常口はこの先にあるはずや!」
「はず、て! お前、ちゃんと調べてきたんやろな!?」
「たぶん! ……いや、きっと!」
「全然信用ならん!」
背後からは警備員たちの足音が迫ってくる。
「止まれーっ!! 侵入者やー!!」
「うわー、これ撃たれるやつや!」
二人はなんとか地下3階の非常口にたどり着き、扉を押し開けた。
だが、そこにあったのは――
「……工事中?」
「なんでやねん!」
目の前には足場と鉄パイプ、そして封鎖された扉。
「どうする?どうする? 大竹、お前スパイ映画とかでこういう時どないするか知ってるやろ?」
「知らんし。 そもそも俺らスパイちゃうし」
片山はアタッシュケースを抱えたまま、くるりと踵を返した。
「もう戻るしかない。 逆走や!」
「また走るんかい!」
その瞬間、階段の上から警備員が現れた。
「発見! そこまでや!」
「やばい! 上も塞がれた!」
「なら下や!」
「え、下? 地下4階って書いてんで」
「行ったことない場所にはチャンスがある」
「なんの理論やねん」
強引に階段を下りる二人。
その先にあるのは未知のフロア――地下4階。通常社員は立ち入り禁止となっているエリアだ。
「おい……ここ、やけに静かやな」
「なあ大竹……なんか変な音聞こえへんか?」
「……ウィーン……カシャン……」
重機械のような音と共に、廊下の奥から何かが近づいてくる。
「まさか……」
姿を現したのは、全身がメタリックに光る人型のセキュリティロボットだった。
「うわあああああ!!!」
「なんでロボがおんねん!これ探偵の領分ちゃうやろ!」
ロボットが片手を上げると、指先からレーザーが発射された。
「よけろー!」
床に転がりながら、片山が叫ぶ。
「これ、ほんまに300万で割に合うミッションか?」
「いや……もう金やなくて意地や」
二人はロボットの攻撃をかい潜りながら、地下4階の奥へと逃げていく。
薄暗い廊下の突き当たり、古びたエレベーターの扉が見えた。
「アレしかない」
「動くか分からへんぞ」
「押すしかない」
ボタンを連打する片山。
……ギギィィィィィ……
扉が開きかけた瞬間、ロボットが目の前に迫る。
「今や! 大竹!」
二人はほぼ同時に飛び込んだ。
エレベーターの扉がギリギリのタイミングで閉まり、ロボットのレーザーがその外壁をかすめた。
「……セーフ!」
「……まだ、生きとる……」
二人はエレベーターの中でへたり込み、深く息を吐いた。
だが、
「なあ片山……このエレベーター、どこに行くんや……?」
「……知らん」
「おい!」
(続く)
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喜劇団R・プロジェクト6月公演
『ミッション:おっさんポッシブル 〜VS覆面ブラザーズ〜』
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