金庫の扉を開けろ!
廊下の突き当たりに現れたのは、分厚い鉄製の金庫室の扉だった。
異様なまでに厳重なロックが施され、天井からは赤いレーザーが無数に張り巡らされている。
「これが……ターゲットの金庫か」
片山はごくりと唾を飲み込んだ。
「すごいな……セキュリティの宝石箱やー」
「褒めてる場合ちゃうやろ」
大竹は眉間にしわを寄せ、周囲を警戒した。
「先ず、指紋認証。次に暗証コードやったな」
「せや。どっちも突破できるよう、準備はしてきた」
片山が胸ポケットから取り出したのは、社長がよく通うカフェで入手したという紙コップ。
「まさか……」
「ここに社長の指紋がついとった」
「マジか。ほんまにペラペラの紙コップに未来が詰まっとるとは……」
片山は小型の指紋複製キットを取り出し、精密な動作で指紋の型を読み込ませた。
装置を金庫の指紋パネルに押し当てる。
【ピッ……認証完了】
「よし、いけた!」
「次は暗証コードや……せやけど、ヒントは社長室にあるんやろ?」
「いや、それがな……実はSNSで社長秘書の投稿を見ててな」
「またそれか」
「昨日の投稿で“社長の誕生日ケーキ”の写真が上がってた。ローソクの数、48本」
「つまり、コードは……」
「『1975』や!」
片山が素早くテンキーに数字を入力する。
【ピピッ……アクセス許可】
「開いた!!」
重々しい音と共に金庫の扉がゆっくりと開いていく。
中から現れたのは、黒いアタッシュケース。中央に赤いラベルで「TOP SECRET」とだけ書かれている。
「これが……ミッションのブツか」
「はよ取れ。 警備が来るで」
片山がケースを手にした瞬間――
【警報作動】
「な、なんでや? 指紋もコードも突破したやろ」
「センサーか? 重量か? なんかミスったんやろ」
「うわあああああ!」
警報が鳴り響く中、廊下の奥から警備員たちの怒号が響いてくる。
「逃げるぞ大竹! 非常口はこっや!」
「ほんまにええんか? あのアタッシュ、爆弾ちゃうやろな?」
「知らん! でも300万や!」
二人は再び走り出す。
おっさん探偵たちの逃走劇が始まった――!
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喜劇団R・プロジェクト6月公演
『ミッション:おっさんポッシブル 〜VS覆面ブラザーズ〜』
公演ではこの物語がどう展開するのか!?
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