『ミッション:おっさんポッシブル』第8話

金庫の扉を開けろ!

廊下の突き当たりに現れたのは、分厚い鉄製の金庫室の扉だった。 

異様なまでに厳重なロックが施され、天井からは赤いレーザーが無数に張り巡らされている。

 

「これが……ターゲットの金庫か」

 

片山はごくりと唾を飲み込んだ。

 

「すごいな……セキュリティの宝石箱やー」

 

「褒めてる場合ちゃうやろ」

 

大竹は眉間にしわを寄せ、周囲を警戒した。

 

「先ず、指紋認証。次に暗証コードやったな」

 

「せや。どっちも突破できるよう、準備はしてきた」

 

片山が胸ポケットから取り出したのは、社長がよく通うカフェで入手したという紙コップ。

 

「まさか……」

 

「ここに社長の指紋がついとった」

 

「マジか。ほんまにペラペラの紙コップに未来が詰まっとるとは……」

 

片山は小型の指紋複製キットを取り出し、精密な動作で指紋の型を読み込ませた。

 

装置を金庫の指紋パネルに押し当てる。

 

【ピッ……認証完了】

 

「よし、いけた!」

 

「次は暗証コードや……せやけど、ヒントは社長室にあるんやろ?」

 

「いや、それがな……実はSNSで社長秘書の投稿を見ててな」

 

「またそれか」

 

「昨日の投稿で“社長の誕生日ケーキ”の写真が上がってた。ローソクの数、48本」

 

「つまり、コードは……」

 

「『1975』や!」

 

片山が素早くテンキーに数字を入力する。

 

【ピピッ……アクセス許可】

 

「開いた!!」

 

重々しい音と共に金庫の扉がゆっくりと開いていく。 

中から現れたのは、黒いアタッシュケース。中央に赤いラベルで「TOP SECRET」とだけ書かれている。

 

「これが……ミッションのブツか」

 

「はよ取れ。 警備が来るで」

 

片山がケースを手にした瞬間――

 

【警報作動】

 

「な、なんでや? 指紋もコードも突破したやろ」

 

「センサーか? 重量か? なんかミスったんやろ」

 

「うわあああああ!」

 

警報が鳴り響く中、廊下の奥から警備員たちの怒号が響いてくる。

 

「逃げるぞ大竹! 非常口はこっや!」

 

「ほんまにええんか? あのアタッシュ、爆弾ちゃうやろな?」

 

「知らん! でも300万や!」

 

二人は再び走り出す。

 

おっさん探偵たちの逃走劇が始まった――!

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喜劇団R・プロジェクト6月公演
『ミッション:おっさんポッシブル 〜VS覆面ブラザーズ〜』
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