「ほな行くでぇ!」
片山が意気揚々声を上げる。
大竹はため息をつきながら、ぎこちなく警備員の制服を整えた。知り合いのコスプレマニアが用意したという制服は、確かに本物そっくりだったが、ほんの少しサイズが合っていない。腕まくりをしても、袖が妙に短い。
「これ、ほんまに大丈夫なんか?」
「何言うてんねん。バッチリやんけ。 それっぽく歩けばええねん」
片山は胸を張るが、大竹は不安を拭えない。
二人はオルフェウス・テクノロジー社の社員入り口に向かった。
「先ずは正面突破や」
「普通に言うなよ。 正面突破ってバレたら終わりやろ」
「大丈夫や。警備員は俺らと同じ制服やし、適当に紛れ込めば問題ない」
片山はすました顔で社員証リーダーの前に立ち、偽物のIDカードをかざした。
……ピッ。
「おっ、通った!」
「嘘やろ……?」
あっさりとゲートが開いた。
「見たか大竹。 これがハッカーの力や」
「お前の知り合い、ほんまにヤバい奴なんちゃうか?」
不安を抱えつつも、大竹は片山に続いて建物の中へ入った。
目的地:地下3階
エレベーターで地下3階へ向かう二人。
「なあ、ほんまに大丈夫なんか?」
「大丈夫や。俺らは警備員やから、多少怪しまれても問題ない」
「それが問題やろ」
エレベーターが「チン」と鳴り、地下3階に到着した。
廊下には無数の監視カメラが並び、奥には二人の警備員が雑談をしていた。
「こっからが本番やでぇ」
片山はそう言って、自信満々に廊下を進み出した。
「おいおいおい、どうすんねん」
大竹が慌てて着いていく。
「お疲れ様でーす」
片山が大きな声で挨拶すると、警備員二人がこちらを振り向いた。
「お疲れっす。ん…? え…?新顔か?」
「あ、はい! 今日から夜勤シフトになりました」
「ふーん、そうなんや。大変やな」
「いやぁ、初日なんでドキドキしてますよ」
片山は適当に笑いながら、警備員の横を通り過ぎようとする。
「そういや君らの上司の田中さん、今日休みだっけ?」
「えっ……?」
大竹が固まる。
やばい。
知らない名前が出てきた。
「ええ、そうなんすよ。 田中さん、風邪で休みなんすよ」
片山が即座に返す。
「マジか。アイツ、最近疲れてたからなあ」
警備員たちは納得した様子だった。
「よし、いける」
片山は心の中でガッツポーズを決め、慎重に足を進めた。
果たして、このまま金庫に辿り着けることができるのか……!?
(続く)
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喜劇団R・プロジェクト6月公演
『ミッション:おっさんポッシブル 〜VS覆面ブラザーズ〜』
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