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潜入開始!
「よし、自然に振る舞えよ」
片山は胸を張り、警備員らしく歩きながら、正面入り口のゲートへ向かった。
ビルのロビーには、正規の警備員が二人ほど巡回している。
「おい、普通に入れるんか?」
大竹が小声で尋ねると、片山はニヤリと笑った。
「大丈夫。事前に調べてあんねん。この時間帯は夜勤交代のタイミングや」
「だからって、こんな適当な変装で通れるんか?」
「まあ見とけって」
片山はそのまま堂々とゲートを通過しようとした。
ピンポーン!
突然ゲートが赤く光った。
「え?え?え?なんや?」
「お客様、IDカードをお願いします」
受付の女性が笑顔で声をかけてきた。
「IDカード?」
片山の顔が一瞬で固まる。
「おい、IDカードのことなんか聞いてへんぞ」
大竹が小声でツッコむが、片山は無理やり笑顔を作る。
「え、えーっと……実は、IDカードを忘れてしまって……」
「そうですか。では、お名前と所属をお願いします」
「んーっ、と……」
片山は焦ったが、すぐにホワイトボードに書いた内容を思い出した。
「**オルフェウス警備チーム、第3分隊の……カタヤマ・ヒロキです」
「…本名やんけ!」
大竹が心の中で叫ぶ。
受付の女性は一瞬、不審そうな顔をしたが、すぐにPCで何かを調べ始めた。
「カタヤマさんですね……すみません、名簿には載っていませんが?」
「え?」
「え?」
二人の間に気まずい沈黙が流れた。
「ちょっとお待ちください。確認いたしますので、こちらで待機を――」
「逃げろ大竹!」
片山は叫ぶと、いきなりダッシュした。
「うわっ!マジかおい!」
大竹も仕方なく後を追い、二人はそのままロビーの奥へと駆け出した。
ーーー
緊急プランB発動!
「待てーっ!」
警備員たちが一斉に動き出す。
「アホかお前、計画めちゃくちゃやんけ」
「しゃーないやろ、バレたら終わりや!」
「もうバレとるわ!」
二人はビルの奥へと走りながら、非常階段を目指した。
「このまま地下3階に突入や」
「ほんまにいけるんか?」
「俺を信じろ大竹。俺らはおっさんポッシブルや」
「何を言うとんねん」
果たして二人は、無事にミッションを遂行できるのか――!?
(続く)
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喜劇団R・プロジェクト6月公演
『ミッション:おっさんポッシブル 〜VS覆面ブラザーズ〜』
公演ではこの物語がどう展開するのか!?
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