連載小説『殺し屋のるーる』⑨

3月公演『殺し屋のるーる』の戯曲を小説風にしてみました。もうこれはほぼほぼネタバレです(笑)
どうぞお楽しみください。 
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【登場人物】
チヒロ(私生活ではニートだが裏の顔は殺し屋 殺し屋協会所属)  
 
サエキ(殺しの依頼人 殺し屋協会所属) 
 
エモト(殺しのターゲット 殺し屋協会京都支部所属) 
 
キノッピー(チヒロのニート仲間 ゲーム好きのニート) 
 
タケポン(チヒロのニート仲間 夢追い型ニート)  
 
サエコ(コンビニの店員 コンビニではチヒロの先輩 年下なのにチヒロに先輩風を吹かせる小生意気なイマドキ女子高生) 
 
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《前回からの続き》 
 
翌日、うちはサエコと一緒に品出しをしていた。彼女は相変わらず口数が多く、無邪気な笑顔を見せている。 
 
「チヒロさん、昨日何してたん?」 
 
「え?別に何も。ただ家でゴロゴロしてただけ」 
 
「嘘やん。顔に書いてあんで、『昨晩なんか怪しいことしてました』って」 
 
「そんな顔してないわ!」 
 
サエコの言葉に冷や汗がにじむ。彼女は軽口を叩いているだけなのか、それとも何かを感じ取っているのか。 
 
「そういえば、店長のエモトさんって、なんか秘密ありそうやんな。」 
 
「……どういうこと?」 
 
「いや、うちがこの店でバイト始めたときも思ったんやけど、あの人、普通の店長ちゃう気がしてな」 
 
サエコの無邪気な観察眼が鋭すぎて、うちは思わず手に持っていた商品を落としそうになった。

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潜入捜査もいよいよ終盤。うちはエモトが匿っているターゲットについて、わずかな情報を掴みつつあった。彼の動向を注意深く観察するうちに、ターゲットの存在が徐々に明らかになる。 
 
「エモトさん、この前の品出し、在庫数が合わなかったみたいですけど……」 
 
勤務中、わざとらしく切り出した。 
 
「ああ、それ、俺が調整しといたから問題ないで」 
 
「へえ……調整?」 
 
「まあ、店長としての特権やな」 
 
エモトは軽く笑って流したが、その言葉には何か含みがあった。 
 
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エモトが匿っているターゲットがコンビニの倉庫にいる可能性が高いことがわかった。しかし、それを確定させるにはリスクが伴う。 
 
「どうする、うち……」 
 
一人きりの帰り道、うちは自問した。 
 
エモトは敵か、それとも味方か。彼を粛清するのが任務だが、彼の本心をまだ読み切れていない。 
 
その夜、うちはエモトに「話がある」と声をかけた。
(続く)

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