3月公演『殺し屋のるーる』の戯曲を小説風にしてみました。もうこれはほぼほぼネタバレです。
この連載小説を読んで面白いと思った方は是非劇場へ公演を観に来てください。
よろしくでーす。
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【登場人物】
チヒロ(私生活ではニートだが裏の顔は殺し屋 殺し屋協会所属)
サエキ(殺しの依頼人 殺し屋協会所属)
エモト(殺しのターゲット 殺し屋協会京都支部所属)
キノッピー(チヒロのニート仲間 ゲーム好きのニート)
タケポン(チヒロのニート仲間 夢追い型ニート)
伊澤ゆうり(伊澤姉妹の姉 フリーの殺し屋 妹と共にチヒロに戦いを挑むがことごとく返り討ちに遭う)
伊澤まこと(伊澤姉妹の妹 フリーの殺し屋 姉と共にチヒロに戦いを挑むがことごとく返り討ちに遭う)
サエコ(コンビニの店員 コンビニではチヒロの先輩 年下なのにチヒロに先輩風を吹かせる小生意気なイマドキ女子高生)
チ カ (サエコの友達)
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部屋は、いつものように散らかっている。床にはカップ麺の空容器がいくつも転がり、お菓子の袋があちこちに散乱している。テレビの画面がぼんやりと点いているけど、特に何を見るわけでもなく、うちはその前でラーメンをすすっている。
殺し屋としてのうちの姿を知る者がこの生活を見たら、きっと失望するだろう。「殺し屋」という肩書きには華やかさや緊張感を期待されるけど、実際はこんなもんだ。
「邪魔すんでー。」
玄関から聞き慣れた声が聞こえる。キノッピーだ。
「邪魔すんなら帰ってぇ。」
こちらもお決まりの返しだ。だが、当然のように彼とタケポンは部屋に上がり込んでくる。彼らはうちのニート仲間で、暇さえあればここに集まってはダラダラしている。
「お前ら、女子の部屋に勝手に入ってくんなよ。」
「女子? チヒロが?」
タケポンがからかうような声を出す
「どう見ても女子やん!」
うちはそう言い返すが、二人とも笑うばかりだ。
(続く)